メニュー

胃・十二指腸の病気

胃や十二指腸は、食べ物を消化・吸収するために重要な役割を担う臓器です。これらの臓器に何らかの異常が生じると、様々な症状が現れ、日常生活に支障をきたすことがあります。当院では、胃・十二指腸の病気に対して、内視鏡検査(胃カメラ)を用いた精密な診断と、患者さん一人ひとりに合わせた丁寧な診察、検査および治療を心がけています。

胃・十二指腸の病気で診る症状

胃や十二指腸の病気によって現れる症状は様々ですが、代表的なものとしては以下のようなものが挙げられます。

  • 胃痛・・・みぞおちあたりが痛む、キリキリとした痛み、鈍い痛みなど
  • 胸やけ・・・胃酸が食道に逆流することで起こる不快感
  • 吐き気・嘔吐・・・食べたものを吐いてしまう
  • 食欲不振・・・食欲がわかない、食べると気持ち悪くなる
  • 腹部膨満感・・・お腹が張って苦しい
  • 吐血・・・胃潰瘍や十二指腸潰瘍が酷くなると出血します
  • 黒色便・・・胃酸と血液が混ざると黒い便となります
  • 体重減少・・・原因不明の体重減少

これらの症状は、一時的なものから慢性的なものまで様々です。症状が続く場合や、気になる症状がある場合は、お早めに当院にご相談ください。

胃・十二指腸で診る病気

胃炎

炎症には急性と慢性の炎症があり、時間経過や様々な要因により大別されますが、消化管領域による悪性腫瘍に関しては、炎症が発癌に果たす役割は大きく、ここでは代表的なピロリ感染性胃炎と、最近話題となっている自己免疫性胃炎に関して記載します。

① Helicobacter pylori感染胃炎

 H.pylori感染は糞―口感染または口―口感染であり上下水道の普及などの衛生環境と密接に関与すると言われています。わが国では1950年頃から下水道の管理が始まったため、それ以前に出生されている方はかなりの確率で感染していると考えられています。一方中年以下では経時的に感染率は低下しており、若年層では数%程度となっています。

 H.pyloriは胃炎、慢性胃炎(萎縮性胃炎、腸上皮化生)、消化性潰瘍(胃・十二指腸潰瘍)、胃がん、MALTリンパ腫など悪性腫瘍にも関与しています。

 また、鉄欠乏性貧血や慢性蕁麻疹、血小板減少にも関与していると言われています。

 主には胃がん高危険因子であり、7.8年間におよぶ研究では感染者のみ胃がんの発症がみられたとの報告があります。

 除菌は初発胃癌や早期胃がん内視鏡治療後の異所性胃がんの双方を減少するといわれていますが、完全に抑制することは出来なく近年では除菌後にできる胃がんが問題視されており、その発見も通常の未除菌の胃がんより発見が難しいとされています。定期的に検査が必要な理由は、そのような事からになります。

② 自己免疫性胃炎

 何らかの自己免疫異常に伴い胃の壁細胞が破壊・消失し、この過程において自己抗体(抗胃壁細胞抗体)が産生される胃炎変化です。その結果高度な萎縮のため無酸状態となり、高ガストリン血症をきたす病態です。

 抗胃壁細胞抗体に加え、抗内因子抗体が産生されるため、内因子の分泌低下によりビタミンB12の吸収障害をきたし、晩期には巨赤芽球性貧血である悪性貧血や亜急性連合性脊髄変性症を発症することがあります。

 さらに高ガストリン血症を伴うため、ECL細胞の過形成を経て胃神経内分泌腫瘍を合併しやすいことが知られています。また、胃体部の高度萎縮(低ペプシノゲン血症)を認めるため、胃がん発症の高リスクでもあります。他は甲状腺や膵などの胃外腺組織の自己免疫性疾患と高率に合併するため、全身性疾患として理解する必要があります。そして根本的な治療がなく、症状や合併症に合わせた対症療法が主になります。予後は悪くありませんが、胃腫瘍(胃がんや胃神経内分泌腫瘍)が予後を規定すると言われていますので、定期的な内視鏡検査が必要となります。

機能性ディスペプシア

 「ディスペプシア」とは胃が痛い、もたれる、膨満感など上腹部を中心に食後の不快感がある症状を指し、機能性ディスペプシアは超音波検査やCT検査、主に内視鏡検査など上部消化管の検査によって器質的疾患(炎症や腫瘍など)がみられないのに、ディスペプシア症状をきたす疾患を言います。実際は仕事のストレスに起因することが多く、ストレスマネジメントを行うなど心療内科的治療が有効である場合が多いです。また、食事や運動、睡眠などの生活習慣の見直しも有効で、偏りのある生活習慣は自律神経障害の原因となりディスペプシアを引き起こしやすく、しっかりとした診察、検査で適切な治療をしましょう。

胃・十二指腸潰瘍

 「潰瘍」とは何らかの原因により粘膜下組織より深層(病理学的に粘膜筋板を超えて)に及ぶ限局性組織欠損で、粘膜層のみの欠損は「びらん」と定義されます。内視鏡的にはおおよそ5mm程度からの粘膜欠損を潰瘍と診断します。原因は様々で、感染性、薬剤性、過酸性(Zollinger-Ellison症候群)、二次性、特発性に分類されます。

 現在はH.pylori感染および低容量アスピリンを含むNSAIDsが消化性潰瘍発生の二大リスク要因と言われております。基本的に良性の疾患ですが、潰瘍形成する悪性との鑑別が重要になります。放置すると穿孔といって消化管に穴が開き、消化管内容物が外に漏れてしまい腹膜炎をおこすため、緊急手術で穴を塞がなければなりません。穴があかなくても動脈性の出血をする場合があり、早めの治療が必要となります。

 完治には約2ヶ月の内服加療が必要となります。症状が良くなったからといって途中で加療をやめたりすると再燃しますので注意が必要です。流れとしましては内服加療2ヶ月後に潰瘍治癒の確認および悪性でなかったかの再確認で内視鏡検査をします。いずれも大丈夫と判断された場合は、ピロリ菌が原因でないかの検査をし、ピロリ菌感染ありの場合は再発しないように除菌療法をしましょう。

胃ポリープ

 胃ポリープとは胃に発生する上皮性、良性、隆起性病変のことで、過形成性ポリープ、胃底腺ポリープ、特殊型(炎症性、症候性、家族性)に分類されます。過形成性ポリープと胃底腺ポリープの2つが胃ポリープの大半を占めます。

 過形成性ポリープは、ピロリ菌が陽性のことが多く、除菌により縮小または消失するといわれており、治療の第一選択は大腸のようにポリープ切除ではなくピロリ菌の除菌療法になります。20mm以上の大きさは3~5%の癌化率があるため切除することもあります。また、貧血の原因となり得る場合も切除の対象となります。

 胃底腺ポリープは、家族性でない場合はピロリ菌がいない健常な胃粘膜から発生しますので、基本的には悪性化はないとされており、治療の必要はありません。

 しかし近年この胃底腺ポリープと似た形態や色調を呈する低異形度・低悪性度の胃がん特殊型の胃底腺型胃がんの報告が多くなり鑑別を要する疾患として内視鏡学会等で話題となっております。健診のバリウム検査でポリープを指摘された等ある方は、これを機に内視鏡検査でしっかり精査しましょう。

 また、胃腺腫(広義のポリープ=腺腫性ポリープ)は、異形上皮から構成される隆起性病変であり、萎縮性胃炎、腸上皮化生の慢性胃炎を背景にもつ胃に出現します。ここで注意が必要なのは、胃がんも萎縮性胃炎や腸上皮化生を背景に出現しますが、「必ず腺腫を経てがん化する結腸・直腸がん」と異なり、胃腺腫は胃癌の発生の途中経過ではないということです。しかしながら胃良悪性の境界病変であり、必ずしも治療を必要とするわけではありませんが、発赤を主体とするもの、大きさが20mmを超えるもの、病変内に陥凹を伴うものは、がん化のhigh risk群とされており、積極的な治療を要します。

 以上のことから、胃のポリープ、隆起性病変は、大腸ポリープと違って必ず治療するわけではなく、種類や大きさ、色調、形態などにより治療適応が違うということです。

胃がん

 胃に生じた悪性上皮性腫瘍で、2021年の死亡数は第4位で年間約5万人が胃がんにより命を落としていました。しかし近年はヘリコバクター・ピロリ感染の減少によって、罹患率も低下しておりそれとともに死亡率も減少しております。ヘリコバクター・ピロリ感染以外にも、喫煙や塩分過剰摂取、野菜の摂取不足なども関与していると言われており、さらに胃がんの診断能力、内視鏡機器の精度の向上も相まった結果とも言えますが、2024年では約3万8千人が胃がんにより命を落としています。

 早期のがんでは症状を呈することは少なく、健診で発見されることが多いです。また、健診以外では腹痛精査として内視鏡検査をやったところ、早期がんの症状とは言えないが早期がんがみつかった、ということは多く経験しております。

 進行するにつれ食欲低下や上腹部痛、貧血、体重減少、腹水による腹部膨満などの症状を呈するようになり、発見される事もあります。

 胃は腺組織のため殆どが腺癌であり、分化型、未分化型に大別されます。ヘリコバクター・ピロリ感染を背景にするがんは分化型がんが多く、ピロリ未感染の場合は悪性度の高い未分化型がんが多いです。30代で見つかるがんは未分化型が多く若年発症も多い印象です。そのため、ピロリ菌に感染していなかったからといって検査をしなくて大丈夫とはなりません。

 内視鏡、CT、エコー検査を組み合わせで、がんの根っこがどこまで深くなっているかの壁深達度(T)、飛び火していないかのリンパ節転移の程度(N)、遠隔転移(M)の有無によって進行度(Stage)が規定され、治療方法が決まります。

 治療は、早期がんのみ内視鏡の検査の延長で内視鏡での治療ができ、進行がんでは外科的手術、化学療法、放射線療法、緩和・対症療法となります。私はいずれの治療もやる側として携わってきましたが、特に早期がんの発見、早期がんの内視鏡治療を主にやってきました。そのため当院では進行がんにならないように定期的に検査をし、早い段階でがんを見つけ早期発見、早期治療に繋がるよう診療しております。

胃・十二指腸に関する検査

当院では、胃・十二指腸の病気を診断するために、以下のような検査を行っています。

  • 内視鏡検査(胃カメラ)・・・口または鼻から内視鏡を挿入し、胃や十二指腸の内部を直接観察する検査。組織を採取して病理検査(顕微鏡検査)を行うこともあります。
  • X線検査(バリウム検査)・・・バリウムを飲んで、胃や十二指腸の形や異常をX線で観察する検査。
  • 尿素呼気試験・・・検査薬を飲む前、飲んだ後で自分で吐く息(呼気)を採取し、ピロリ菌感染の有無を調べる検査。

胃・十二指腸についてのよくある質問

Q: 胃カメラ検査は痛いですか?

痛みというより、内視鏡が喉を通る際に嗚咽反射が出る事があります。一度で出すと、30秒から1分間は続きますので、ゲーゲーしている中で検査を進めることになります。それを苦痛と感じる方が一番多く、2番目に多い症状は、胃の粘膜のひだとひだの間に病変がないか、空気を入れて膨らませます。その時に張って苦しい、と感じる方が多いです。当院では、それぞれの患者さんに応じて麻酔薬の量を微調整し、苦痛を最小限にするため工夫して検査を行っています。ウトウトと眠っている間に検査が終わるので、ほとんど症状を感じることが少ないです。

Q: ピロリ菌感染症は、どのように治療するのですか?

ピロリ菌感染症は、抗菌薬(1次除菌ではペニシリン系、クラリスロマイシン系の2剤)と胃酸分泌抑制薬を服用することで除菌することができます。除菌療法は、通常前述の3剤を、朝・夕食後の2回で1週間の内服薬で行います。1回で除菌できない場合は、2次除菌療法となります。2回で90%以上の方が除菌できます。

Q: 胃がん検診は、どのくらいの頻度で受ければ良いですか?

胃がんのリスクが高い方(ピロリ菌感染者、家族に胃がんの既往歴がある方など)は、1年に1回の胃カメラ検査をおすすめします。リスクが低い方は、2年に1回の胃カメラ検査をおすすめします。

院長より

 ご自身で胃や十二指腸の症状と思っていても、食道や大腸の症状であったり、胆嚢や膵臓の症状のこともあります。腹部超音波検査もありますので、気になる症状があれば我慢せずに当院にご相談ください。

 当院の内視鏡検査では、NBI(Narrow Band Imaging:狭帯域光観察)といって血液中のヘモグロビンに吸収されやすい青と緑の2つの特殊な光を照らすことで、粘膜表層の毛細血管やそのパターンなどが強調して鮮明に表示される技術を用いて検査をします。また、内視鏡先端に拡大観察(ズーム)機能を備えておりますので、がんなどの血管異常の観察にも対応しており、早期発見を目指しております。患者さんの苦痛を最小限に抑えた検査を心がけていますので、安心して検査を受けていただけるよう努めています。

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME