食道の病気
食道の病気といっても様々な種類があり、症状も多岐にわたります。胸やけや呑酸、食べ物が飲み込みにくい、つかえ感、胸の痛み、咳などが代表的な症状です。これらの症状は、食道に炎症が起きていたり、実際にポリープみたいな隆起性病変で通りが悪くなっていたり、食道の機能自体が低下していたりすることで起こります。
熱いものが好き、アルコールを飲むと顔が赤くなる方は定期的に内視鏡検査にてチェックしましょう。
食道の病気で診る症状
食道の病気では、以下のような症状が現れることがあります。
- 胸やけ
- 呑酸(どんさん)
- 嚥下困難(えんげこんなん)-食べ物が飲み込みにくい
- 胸の痛み
- 咳
- 体重減少
これらの症状は、食道の炎症や機能低下によって引き起こされます。症状が続く場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
食道の病気の種類
食道に起こる代表的な病気には、以下のようなものがあります。
逆流性食道炎
GERD(gastroesophageal reflux disease)は胃酸の逆流により食道が過剰な胃酸暴露をきたし、食道粘膜障害と日常生活に支障の出る症状(胸やけや呑酸など)を呈する疾患です。内視鏡的に粘膜障害を認めるものと、粘膜障害を認めず煩わしい症状のみを認める非びらん性食道炎(non-erosive reflux disease:NERD)に分けられ、約4:6の比率といわれています。内服治療にて早期に症状は改善しますが、内服で改善のない場合または繰り返す場合は、内視鏡検査をして食道炎の程度や、他の疾患がないかを調べ適切な治療をしましょう。
食道がん
食道がん(扁平上皮癌)の75〜90%は喫煙か飲酒に関連していると言われており、日本人男性において7番目に多い疾患です。罹患年齢のピークは70歳代ですが、喫煙、飲酒の高リスクがある方は、50歳代でも見つかることがたまにありますので定期的な検査を進めております。診断には上部内視鏡検査いわゆる胃カメラで、通常光の観察に加え当院でも採用しているNBI(narrow band imaging)を併用することにより精度が高まると言われています。内視鏡挿入時に嗚咽反射が起きると、観察しづらいため注意が必要です。当院では内視鏡挿入時、抜去時に通常光とNBIで分けて丁寧に観察し、見逃しがないよう工夫しております。
食道アカラシア
下部食道括約筋(lower esophageal sphincter:LES)の弛緩不全と食道体部の正常蠕動運動の障害を認める原因不明の食道運動機能障害です。当然圧が高く胃への流入が障害されますので、90%以上の患者様に嚥下困難、つかえ感、75%に胸やけを呈し、症状だけで診断することは困難です。新規発症は10万人に1人と言われており、私は今まで三人しか見たことがありません。いずれもバルーン拡張術で改善しております。繰り返す場合には経口内視鏡的筋層切開術(peroral endoscopic myotomy:POEM)が現在主流となっております。
食道静脈瘤
食道および胃上部の粘膜下層に静脈が腫瘤状に拡張したもので、門脈圧の亢進により生じた側副血行路の一部です。約90%の原因が肝硬変ですが、C型ウイルス性肝炎の特効薬の出現でそれによる肝硬変が少なくなり、あまり見ることは少なくなりましたが、飲酒による肝硬変で見られることがしばしばあります。肝臓が心配の方は消化管も検査しなければならない理由の一つとなっております。静脈瘤が進行すると破裂し、大量吐血となるため命を落とす方もいらっしゃいますので注意しましょう。
好酸球性食道炎
食道上皮への好酸球浸潤により食道の運動機能障害や知覚障害がおこる慢性のアレルギー症状です。40〜50歳の中年に多く、約8割が男性でその約半数がアトピー性皮膚炎や気管支喘息など他のアレルギー性疾患を合併していると言われています。食道の詰まり感や嚥下困難が主ですが胸やけや胸痛など様々な症状を呈する場合があります。診断には食道粘膜の生検を必要としますので、検査後の症状が顕著になることがあります。50〜60%で胃酸分泌抑制薬(PPI)の投薬で改善することが報告されていますが、局所作用糖質ステロイドの経口投薬も全身副作用も少なく有効とされています。
マロリーワイス症候群
嘔吐などによる腹腔内圧や胃食道内圧が急激に上昇することで、食道胃接合部に裂創が生じ吐血をきたす疾患で、若い人の多量飲酒後の嘔吐や、ノロウイルスなどの感染性腸炎による頻回の嘔吐でなることが多い疾患です。基本的には酸分泌抑制薬(PPI)の投薬にて改善します。
食道の病気に関する検査
当院でできる検査
内視鏡検査(胃カメラ)
内視鏡(胃カメラ)を挿入し、食道の内部を直接観察する検査です。炎症や潰瘍、がんなどの病変の有無を確認できます。組織を採取して詳しく調べることも可能です。一番精度が高い検査になります。
当院で出来ない検査
X線検査(食道造影検査)
バリウムという造影剤を飲んで、食道のX線写真を撮影する検査です。食道の形や狭窄(狭くなること)の有無を確認できます。
食道内圧検査
食道内の圧力を測定する検査です。食道の運動機能や下部食道括約筋の機能を評価できます。
pHモニタリング検査
食道内のpH(酸性度)を測定する検査です。胃酸の逆流の程度を評価できます。
食道の病気についてのよくある質問
Q: 食道の病気は、どんな症状があれば受診すべきですか?
胸やけや呑酸が頻繁に起こる、食べ物が飲み込みにくい、胸の痛み、咳などの症状が続く場合は、早めに受診しましょう。特に、体重減少や吐血がある場合は、すぐに受診してください。
Q: 逆流性食道炎は、どのように治療するのですか?
逆流性食道炎の治療は、生活習慣の改善と薬物療法が中心となります。生活習慣の改善では、食事の内容や時間、姿勢などに注意します。薬物療法では、胃酸の分泌を抑える薬や食道の粘膜を保護する薬などを使用します。
Q: 食道がんは、早期発見が大切だと聞きますが、どのような検査を受ければよいですか?
食道がんの早期発見には、内視鏡検査(胃カメラ)が有効です。一番精度の高い検査になり、定期的に内視鏡検査を受けることをおすすめします。特に、喫煙や飲酒の習慣がある方は、定期的な検査が必要です。
院長より
当院の内視鏡検査では、NBI(Narrow Band Imaging:狭帯域光観察)といって血液中のヘモグロビンに吸収されやすい青と緑の2つの特殊な光を照らすことで、粘膜表層の毛細血管やそのパターンなどが強調して鮮明に表示される技術を用いて検査をします。また、内視鏡先端に拡大観察(ズーム)機能を備えておりますので、がんなどの血管異常の観察にも対応しており、早期発見を目指しております。患者さんの苦痛を最小限に抑えた検査を心がけていますので、安心して検査を受けていただけるよう努めています。
